ハラール対応で新工場 水産加工品イスラム圏へ出荷 いまる井川商店(焼津)

 水産加工業「いまる井川商店」(焼津市)は、東南アジアや中東の販路開拓に注力している。ハラール(イスラム教の戒律)認証対応の工場を稼働させて漬け魚や切り身の生産態勢を整え、現地の日系量販店や飲食店への出荷を本格化させた。イスラム圏での日本食人気を追い風に商機取り込みを図る。

いまる井川商店が新設したハラール対応の工場。冷凍設備などを備える=6月、焼津市
いまる井川商店が新設したハラール対応の工場。冷凍設備などを備える=6月、焼津市


 同社は国内大手スーパーや外食産業などに漬け魚や総菜、切り身を出荷する。国内市場が頭打ちとなる中、2017年ごろから海外輸出や訪日外国人(インバウンド)の需要に着目。アルコール不使用の調味料や製造工程の研究を重ねて2022年、ハラール認証付きの工場を建設した。地上2階建てで、低温冷蔵設備や真空包装装置などをそろえる。
 多様な加工商品を開発してきた実績を生かし、日系ディスカウント店「ドン・キホーテ」のマレーシア、シンガポール各国店舗にハラール対応の西京漬けやコロッケといった商材を納入するほか、現地日本料理店、ホテルへの販売も強化する。今年はアラブ首長国連邦(UAE)の食品展示会に出展したり、シェフを本社工場に誘致したりと国内外での訴求を高める。
 現状では売上高全体の1割に満たない海外輸出を、将来的に2割に引き上げる目標を掲げる。インバウンドや留学生など、日本に住むムスリム(イスラム教徒)需要の掘り起こしも進める。専用の電子商取引(EC)サイトを開設し、英語字幕付きの調理動画も発信していく方針で、井川剛志社長は「水産加工食品のイスラム圏への進出余地は大きい。ハラール対応で、焼津で水揚げされる水産物の付加価値を高めたい」と話す。
 (平野慧)

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