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政府は、サウジアラビアなどペルシャ湾岸の6か国が加盟する「湾岸協力会議(GCC)」との自由貿易協定(FTA)について、2024年中に交渉を再開する方向で調整に入った。岸田首相が16日にサウジを訪問した際、GCCのジャーセム・ブダイウィ事務総長と会談し、合意する見通しだ。
複数の政府関係者が明らかにした。GCCはサウジに本部を置き、サウジとアラブ首長国連邦(UAE)、カタール、バーレーン、オマーン、クウェートが加盟している。
日本は06年にGCCとFTAの交渉を開始したが、どの程度の品目を関税撤廃の対象とするかなどを巡って折り合えず、交渉は09年を最後に中断していた。交渉を再開させ、貿易分野で湾岸諸国と関係を深めることで、エネルギー安全保障を強化したい考えだ。
日本は20年、GCC各国から原油を中心に約5兆4000億円分を輸入した一方で、自動車や機械部品など約2兆1000億円分を輸出した。日本はGCCから輸入する物品に関税をかけていないが、GCC向けに輸出する際、一部の例外品を除いて5%の関税をかけられている。
このため、経団連などは関税の撤廃・削減効果が見込めるとして、FTA交渉の再開を要望していた。GCC各国には富裕層も多いことから、日本政府内では工業品だけでなく、農林水産品の輸出拡大につながるとの期待もある。
国際社会では、ロシアのウクライナ侵略で原油価格が高騰する中、エネルギーの安定供給を見据え、中東諸国と貿易関係を強化する動きが目立っている。中国や韓国もGCCとのFTA交渉を再開しており、日本も交渉加速を迫られている。
岸田首相は19日までにUAEとカタールも訪れる予定だ。