インドネシア、3年ぶりに上位中所得国入り、世界銀行の所得分類

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年07月07日

世界銀行は7月1日、前年の1人当たり国民総所得(GNI)に基づく国・地域別の所得分類を改定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、インドネシアを下位中所得国から上位中所得国に引き上げた(注)。同国は2019年に初の上位中所得国入りを果たしたものの(2020年7月13日記事参照)、2020~2021年は下位中所得国に引き下げられていた。

インドネシアの2022年の1人当たりGNIは4,580ドルで、前年の4,140ドルから上昇し、上位中所得国の基準の4,466ドルから1万3,845ドルの範囲に入った。周辺国では、マレーシア(1万1,780ドル)、タイ(7,230ドル)が上位中所得国、フィリピン(3,950ドル)、ベトナム(4,010ドル)が下位中所得国に位置付けられている。

上位中所得国への引き上げについて、ジョコ・ウィドド大統領は「新型コロナウイルス感染症の影響で下位中所得国に転落したものの、迅速な回復を果たした。しかし、世界的な経済情勢不安などを背景に、2023年後半に困難な状況が生じる可能性が高い。世界経済の減速に関する多くの国際機関の予測に細心の注意を払う必要がある」と述べ、上位中所得国への格上げを歓迎しつつも、経済情勢は必ずしも楽観視できる状況ではないとの認識を示した(「アンタラ」7月3日)。

また、ジョコ大統領は6月15日、ジャカルタで行われた2025-2045年国家長期開発計画(RPJPN)の最終案発表の場で、建国から100年に当たる2045年にインドネシアが高所得国となるために、「中所得国のわな」(注2)を克服して経済先進国となった韓国の成功にならいたいとし、「韓国の1人当たりGDPは、1987年に3,500ドル程度だったが、わずか8年間で1万1,800ドル以上まで上昇した。このような飛躍を見習い、インドネシアは今後ピークを迎える人口ボーナスを最大限活用するために、人的資源の質を高めることや生産性の向上を図ることも重要だ」と述べている(「アンタラ」6月15日)。

(注1)世界銀行は、1人当たりGNIが1,135ドル以下の国を低所得国、1,136ドルから4,465ドルまでの国を下位中所得国、4,466ドルから1万3,845ドルの国を上位中所得国、1万3,845ドル超の国を高所得国としている。今回の国別分類は7月1日から2024年6月30日まで適用される。

(注2)「中所得国のわな」とは、経済成長によって国民の所得が中程度の水準に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷し、高所得国の水準に届かないことを指す。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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