名古屋のハラル「宇宙」に輝く タイの美術家が展覧会
2025年1月12日 10時00分 (3月6日 16時02分更新)
イスラム教の戒律に沿った食事「ハラル」を題材にした展覧会を、タイの現代美術家プラット・ピマーンメーンさん(37)が、名古屋市中川区外新町2のアートスペース「Q SO-KO」で開いている。同市内でハラル料理を提供している店を調査し、イスラム教徒として旅をした視点から、映像や立体などで表現した。入場無料。
プラットさんは仏教徒が多数を占めるタイでは少数派のイスラム教徒。一昨年に来日した際、和食店でハラル料理に接し、日本でのハラルの受容に関心を持ったという。昨年11月から1カ月間、名古屋市に滞在。ハラルに対応した店舗やモスクで聞き取りをしながら作品を制作した。
会場で最初に目に入るのは、三角形のアルミ複合板を組み合わせて作られた半球状のドーム。内部は鏡になっていて、飲食店の様子や料理の映像を映し出したモニターが9台、置かれている。「Dome Site」(ドームサイト)と題したこのインスタレーション(空間芸術)では、「ハラルに関わっている人たちは、より良い場所と生活を求めてここにやって来た。食から生まれる旅やインスピレーションを宇宙という“ドーム”にたとえて表現した」と話す。
ハラル料理店の調査では、日本人のほかにも、ウズベキスタンやインドネシアなどからやってきたイスラム教徒の人が、料理を提供する店も数多く見つかった。運営する外国人の多くが、料理を通して故郷へのアイデンティティーを抱きながらも、名古屋に愛着を持っているのが強く印象に残ったという。
イスラム教徒向けにハラルの認証を受けたしょうゆやみりんを用いた立体作品もある。プラットさんは「食事は文化やアイデンティティーの象徴。食の多様性の一つとして(展示が)ハラルに関心を持つきっかけになればうれしい」と来場を呼びかけている。2月9日まで。
(宮崎正嗣)
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