「ジャパンブランドは健在だ」米コンサル大手が分析した意外な事実。世界で稼ぐ日本メーカーに3つの共通点

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shutterstock / yu_photo・umitc・Jaiz Anuar・noPPonPat
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出生率低下や高齢化によって国内市場が頭打ちとなる中、アジアの食品や飲料、日用品、家電、アパレルなどのメーカー各社にとって、これまで以上に海外進出の重要性が増している。

幸運にも日本のアニメ韓国のドラマ・音楽といったアジア文化の人気の高まりと共に、海外市場でのアジアブランドの影響力が高まり、海外進出の追い風になっている。

しかし、こうした消費財企業、中でもアジア太平洋地域に本社を置く企業トップ45社のうち、グローバル展開しているのは、わずか14%に過ぎない。つまり、今後大幅に拡大する余地があるのだ。

そんなアジアの消費財メーカーの海外進出において、日本企業は他国をリードしていることが判明した。

新しい食文化を根づかせたり、現地で先行する競合企業と対決して国内2位にまで上り詰めたり。日本内ですでに市場シェアを獲得している大手だけでなく、競争力が低下している企業や、スタートアップにも海外展開で成功する道はある。

海外進出における「3つの勝ち筋」と「8つの落とし穴」を、日本企業の事例を交えて考えていきたい。

島田淳司:ベイン・アンド・カンパニー アソシエイト パートナー。オックスフォード大学経営大学院修士課程(MBA)修了。三井物産を経て、ベインに入社。消費財、製造業をはじめとする幅広い業界で、企業再生、全社変革、業績改善に従事。

実はまだまだ強い「ジャパンブランド」

ベイン・アンド・カンパニー
作成:ベイン・アンド・カンパニー

まず初めにアジア太平洋地域に本社を置く、(1)食品・飲料・トイレットペーパーなどの日用消費財(2)スキンケア用品やサプリメントなどのコンシューマーヘルス(3)アパレル・シューズ・ジュエリー(4)家電の4つの業界の約150社を対象に分析を実施した。これらの企業の海外売上高比率を業界別に集計したところ、海外売上高比率が最も高かったのは家電業界で、対象上位45社全てで海外売上があり、そのうち26社は海外売上高比率が 50%以上を占めていた。

これは、家電は国・地域間で消費者の嗜好に差が出にくいこと、参入コストが高いことなどから市場への参入障壁が高いこと、海外進出を促進する政府の支援政策が存在することが主な要因と考えられる 。

ベイン・アンド・カンパニー
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次に、海外売上高の比率を業界別に加えて本社の所在国別に集計したところ、日本に本社がある企業の海外売上高の比率は高く、特に日用消費財業界では対象16社の内うち5社は海外売上高の比率が 50%以上であることが分かった。

日本の国内市場の成熟度の高さ、海外における日本文化の影響力の強さ、海外諸国との外交関係が比較的良好なことなどが理由だろう。

アサヒ、カルビー、ユニ・チャーム……国内大手が海外でも成功した理由

ベイン・アンド・カンパニー
作成:ベイン・アンド・カンパニー

では、これらの企業はどのようにして海外進出を成功させているのか。その経緯を調べると、(1)国内のコア事業を横展開(2)海外向けの新規コア事業立ち上げ(3)国内を飛び超え最初から海外に挑戦、の3つのパターンに分類できることがわかった。

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